私は当初、脳神経外科医志望でしたが、感染症内科医の青木眞医師との出会いから内科医を志し、その後、徳田安春医師、藤本卓司医師、ローレンス・ティアニ医師と出会い、この4名に師事したこと、国内外の武者修行時代の経験を通し総合診療の働き方を考えるようになりました。自分のキャリア・臨床医としての考え方の9割以上は恩師らのコピーですが、残りの一割が新規性で、それは自分のキャリアの中心軸である診断戦略です。診断戦略は診断思考の体系化であり、診断に関わる様々な技術の有機的なつながりを指します。診断戦略をさらに進化・発展させ、世界の診断学のベースを再定義しつづけることで世界に貢献することが自分の最大の関心事であり、ライフワークです。一方、自分の足元の日本を眺めると、高齢化社会とVUCA、そしてシンギュラリティを見据えた未曽有の状況における医療のモデルチェンジが必要な中、総合診療医の果たす役割はまだそのニーズを満たすに質・量ともに程遠い状況です。総合診療は少なくとも自分の立ち位置であり、学会などのスケールメリットのある組織の力、JUGLERもそうですが、そしてそこに集う仲間達との力を合わせながら、日本の総合診療の最適化も目指したいと願い、日々の臨床・教育・研究に従事しています。