- 特別講演
- 2021.2.20
第22回日本病院総合診療医学会学術総会 (特別講演3)
病院総合新専門医の育成に向けて
座長:田妻 進(JA尾道総合病院)
パネリスト:佐藤正通(NHO高崎総合医療センター)、多胡雅毅、志水太郎
[企画概要]
概ね20年の年月を経て、当国日本にあっては総合医療(診療)を担い得る医師の育成について、多くの議論と試行が費やされた。超高齢社会の到来といった日本固有の事情や、医師の診療科・地域偏在等が細分化された医療へ警告を発していた。また診療精度の向上や、診療に用いられるエビデンスの蓄積、医療安全上の側面といった要素が専門分化していく医療を後押しする根拠であったであろう。しかし医療現場での医師の現実はどうであろうか。医師法や医療法に示される医師像、そして医療機関の在り方への示唆に限らず、医師プロフェショナリズムの示す原則に従った場合、医師および医療機関は患者アクセス(医療機関受診)を堅持しなければならない原則にあって、専門的診療の充実と先鋭化と共に、人を、そして社会を守る医師の手として、総合を担い得る医師の必要性を、現代を生きる医師の多くが、そして患者と共にあろうとする多くの地域医療を担う医療者が感じていることであろう。地域を担う医療者側の事情や立場のみではなく、地域社会や人々に求められる医療提供を遂行することが、医師として社会に立場を得た者のプロフェッションであり、そして医療機関だけではなく社会保障の信条理念であることに過去も未来もないと思われる。本国にあっては東北大震災および原発事故、超高齢社会の到来、そして日本だけではなく全世界に拡散した新型コロナウイルス感染症などが、我々「総合を担う医師」についての認識と必要性をいやがおうにも高め、既存の診療域をはるかに超えた、社会保障提供、そして診療提供が喫緊に切迫感を以って社会から、そして人々から求められている。総合診療における学術的到達点について目を向けるならば、過去を見極めるだけではなく、周辺諸国に「総合診療」を探し回る旅は既に終焉を迎え、これをもって未来の総合診療医を創造していく時節に既に時は移っていると感じている。先進国の中でも最も医療を含めた社会保障が充実している日本から全世界へ向けて発信する「総合診療」は既に学術上の編纂へとその歩みを進めたこととなる。この現状を鑑み、日本病院総合診療医学会では、病院総合診療認定医設立と同時に病院総合診療テキストを作成した。現在、病院総合診療はサブスペシャリティー専門医としての認定を受けるべく、テキストの拡充と、プログラムの再編に取り組んでいる。本セッションではこれらの事業進捗状況を報告し、専門医プログラムから病院総合診療医の医師像について議論を深めたい。
[資料]
特別講演3_志水太郎
特別講演3_多胡雅毅
[抄録]
hgm22_特別講演3
[セッションを終えて]
開会式直後の特別講演で、WGを代表して多胡がプログラム作成とテキスト改訂の経緯について、志水がプログラム内容と病院総合診療医の医師像について講演しました。緊張感が漂う特別講演でしたが、本学会と我々WGの思いをしっかりと伝えることができ、目指すべき次のステップがより明確になったと感じました。
ご指導いただきました田妻先生、大会長の佐藤先生、誠にありがとうございました。
病院総合診療専門医に関する田妻先生へのインタビュー記事が日経メディカルに掲載されています。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t325/202108/571506.html