- シンポジウム
- 2021.2.21
第22回日本病院総合診療医学会学術総会(シンポジウム4)
総合診療医のための臨床研究のTIPS by JUGLER
座長:多胡雅毅
パネリスト:志水太郎、佐々木陽典、鋪野紀好、和足孝之、髙橋宏瑞
[企画概要]
総合診療の研究対象は、医学教育から臨床まで非常に幅広く、医学生から指導医、在宅医療から高度救急医療・集中治療、commonからrare diseases、公衆衛生など、ありとあらゆるものが研究対象となりうる。一方で基礎研究や特定の疾患を研究対象とする臓器別専門領域と違い、総合診療領域ではCommon diseasesを取り扱うためにその新規性が評価されにくく、またOutcomeを明確にしにくいテーマもあるために研究の意義自体が誤解されることもある。また総合診療領域では、研究体制の確立された研究機関以外で勤務しているため、リサーチマインドはあるものの研究を実践しにくいと感じている臨床実践家も多い。日々実践しているフィールドでの臨床知を、臨床研究によってエビデンスとして示すことは、一医師として、一科学者としての責務である。また我が国の総合診療領域から現場で役立つ良質なエビデンスを多数積み重ねて行くことが、本領域の専門性の確立につながり、ひいては医療技術の向上につながる。本シンポジウムは、大学での診療・教育実践をベースとした臨床研究の経験が豊富なJUGLER (Japan University General Medicine Leadership and Education Roundtable)が担当する。各メンバーは、診断戦略、診断エラー、医学教育、AI、医療安全、病院管理、公衆衛生、感染症、救急医学、老年医学、在宅医療、など多彩な領域で臨床研究を実践している。また科研費、学会や財団の研究助成を始めとした研究費獲得のノウハウも持ち合わせている。本セッションはディスカッション形式で進行し、メンバーが実際に手掛けている臨床研究の紹介、研究を完遂するコツ、論文執筆、英語スキル、研究費獲得などについて触れながら、リサーチマインドの涵養に必要な、メンタリング、コーチング、研究へのインセンティブ、研究者としてのキャリア形成、研究サポート体制について意見交換を行い、最終的に総合診療領域の臨床研究に必要なTIPSを提言としてまとめることを目的とする。我々の提言が、研究経験の浅い若手の病院総合診療医のリサーチマインドを刺激し、臨床研究の第一歩のきっかけとなれば幸いである。
[資料]
シンポジウム4
[抄録]
hgm22_シンポジウム4
[セッションを終えて]
総合診療医学×臨床研究に関する様々なテーマでディスカッションし5TIPSとして提言をまとめました。6名の研究紹介では扱うテーマの多様性が明確にわかり、どのように総合診療の研究テーマをカテゴライズしていくかということが次のステップになりそうです。
若手の先生方に少しでも我々の想いが伝わり、行動に移してもらうことによって総合診療医学が少しずつでも着実に発展していくことを願います。一歩ずつメンバー、その他の総合診療医の先生方と進んでいけたら良いなと思っております。
本セッションの内容と動画は日経メディカルに掲載されています。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/202104/569782.html
本セッションの内容をまとめた英語論文です。日本病院総合診療医学会の会員マイページより御覧ください。
Tago M, Watari T, Shikino K, et al. Five tips on clinical research for young Japanese generalists. J Hosp Gen Med, 3(3): 108-110, 2021.
https://g-ings.com/gsystem/hgm/member/archives/journals_en