- シンポジウム
- 2021.9.18
第23回日本病院総合診療医学会学術総会(シンポジウム4)
理想の病院総合診療医とは? ~学会テキストの病院総合診療医像10項目から考える~
座長:志水太郎、多胡雅毅
シンポジスト:官澤洋平(明石医療センター)、濱井彩乃(安房地域医療センター)、鋪野紀好
[企画概要]
日本病院総合診療医学会は、2022年度より開始される病院総合診療専門医プログラムと学会テキスト追補版の冒頭で、病院総合診療医像10項目を以下のように示した。
1. どのような疾患・病態の患者でも断らず、全人的医療を実践するマインドを持ち診療できる。
2. 地域包括ケアの要としてコミュニティとつながり、患者やその家族の生涯やそれをとりまく地域を見据えた病院診療を実現することができる。
3. 病歴、身体診察、基本手技全般、検査の解釈に長け、病院の外来、救急、病棟、集中治 療室において標準知識に基づき診断・治療・予防・患者説明の実践と教育を遂行できる。
4. 診断困難な症例では戦略的思考を駆使して最適解を追求し、マネジメント困難例では院内の各専門科、各医療職と緊密に連携して弾力性の高い医療を提供できる。
5. 医療チームにおけるリーダーシップに長け、その能力を適切に発揮できる。
6. 様々な部門や階層での組織マネジメント技術に長け、院内診療の最適化に貢献できる。
7. 医療の限界と医療資源の有限性を理解した医療の質を重視する診療を実践し、それに準じた組織運営を行うことができる。
8. 保険診療を理解した医療経営の視点を持ち、所属組織における最適なチーム運営を実践できる。
9. 次世代の病院総合診療医を育成する心に溢れ、俯瞰的な視野で卒前・卒後教育を指導できる。
10. アカデミックジェネラリストの視点で、臨床研究を通じ日本・世界の病院総合診療分野の発展に寄与できる。
本シンポジウムではこの病院総合診療医像の理解を深めることを目的として、各フィールドで活躍し、若手医師のロールモデルとなりうる3名の病院総合診療医が登壇する。それぞれが考える理想とする病院総合診療医像を示し、総合討論でさらに議論を深める予定である。
[資料]
シンポジウム4
[抄録]
hgm23_シンポジウム4
[セッションを終えて]
素晴らしい日本の病院総合診療医のロールモデルの先生方とともに、病院総合診療医の理想像について議論を交わしました。本学会の専門医資格であるFHGM: Fellow of Hospital General Medicine、とても魅力的な資格になりそうです!!
一昔前には総合診療の意義や定義はデリケートなトピックでしたが、本シンポジウムのようなディスカッションを何の違和感もなく展開できるようになったことに、ここ十数年での総合診療医学領域の発展を感じました。それと同時にその議論の輪の中に加わることができとても光栄に思います。
本セッションの概要については日経メディカルに掲載されています。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/202111/572256.html